「光」ーそこにあって決して捉えることのできないもの。
今回は、僕が今年手に入れてからほぼ毎日のように聴き続けているアルバムについて書きます。
2年程前から、僕はたまたま動画サイトにあったBGM集を聴いたのがきっかけで、ある種類の現代ピアノ音楽やインスト音楽を聞くようになりました。
それまでメジャーな音楽しか知らなかった僕にとって、それらは初めて出会ったマニアックというか、アンダーグラウンドな音楽でした。
当時の僕としては、普通の人たちが知らないところにこんな素晴らしい音楽があったのだと、なかなかのカルチャーショックでした。
そしてそんな音楽を色々と聴いていくうちに、僕はある一曲に辿り着きました。
それはharuka nakamura PIANO ENSEMBLEさんの「音楽のある風景」という楽曲です。
この曲に出会ったことは衝撃中の衝撃でした。
このような表現が正しいのかわかりませんが、「こんなにも美しい音楽がこの世界にあったんだ」というぐらいの気持ちでした。
この曲がタイトルになっているアルバムも購入して、学校の行き帰りや、何か作業している時など、事あるごとに聴いていました。
そして次第に、この人たちの音楽をコンサートで、生で聴いてみたい、と思うようになりました。
そして、僕は今年の7月21日に東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われたharuka nakamura PIANO ENSEMBLE TOUR FINALを観に行くことに決めたのです。
つまり、これが僕にとってharuka nakamura PIANO ENSEMBLEさんの演奏を聴くことができる最初で最後の機会となったのです。
余談ですが、実はこのコンサートの前日が禁断の多数決による「禁断のお化け屋敷」の日だったんです。
おかげでめちゃくちゃカオスな現場に行った次の日に180度真逆の神聖な場所に向かうことになったのです。
しかも翌週にさひろさんと初めて話した時にも、その話をしたらめっちゃ笑われました。
話を戻します。
演奏は圧巻でした。
それぞれの楽器の音、合唱の皆さんの歌声が、一つとなって鳴り響いていました。
そして僕の感じ方がどこまで正しいのかはわかりませんが、日常と神聖なる場所が、演奏を介して繋がっているような感覚を抱いたのを覚えています。
そこは本当に特別な空間でした。
会場で、新しいアルバム「光」を購入しました。
曲順は、僕が観たコンサートと同じものになっています。
コンサートの翌日になって聴いてみて、前作「音楽のある風景」以上に楽曲が洗練されていると感じました。
そして、ほぼ毎日、憑りつかれたようにこのアルバムを聞くようになりました。
決して飽きることがないのです。
この文章も「光」を聴きながら書いています。
そこにあるのは間違いなく僕が知る限りでは最も洗練された音楽です。
ただ、何といえばいいか、その音楽にどこか捉えどころがないのです。
しかし、それは全く嫌な気分ではありません。
むしろ捉えられないからこそ何度も聴けてしまう、という感覚です。
僕は生涯聴き続ける作品に出会えたのだと思います。
この「光」という作品をもっと色んな人に聴いてもらいたいと願っています。
そして、この世界にこれほどまでに研ぎ澄まされた音楽があることを知ってもらいたいです。